今回は、修行の場『琵琶滝』について語ります。
琵琶滝は6号路の途中にあります。
琵琶滝には、伝説があります。
むかし、偉いお坊さんが、高尾山を歩いていると、どこからか琵琶の音が聞こえてきました。
しかし、その琵琶の音が、どの方角から聞こえてくるのかわかりません。
そのとき、一頭の鹿が現れ「どうぞこちらに・・・」 と言うように先へ立って道案内をしました。
お坊さんが鹿の後についていくと、白髪の老人が大岩に座って琵琶を弾いていました。
その美しい調べに深く心を動かされたお坊さんは、白髪の老人に、「悟りの道をお教えください」 とお願いしました。
すると老人の姿は大岩に吸い込まれるように消え、そこにまるで白髪のような清らかな滝があらわれました。
その滝の音は、琵琶の調べのように美しく、お坊さんは、この滝を悟りを開くための修行の場としました。
これが琵琶滝です
琵琶滝の隣りには、不動明王が祀られています。
不動明王の語源は「動かない守護者」を意味し、インド神話のシヴァ神の別名です。
シヴァは暴風雨の威力を神格化したもので、破壊的な災害を起こす半面、雨によって植物を育てます。
その破壊と恵みの相反する面は不動明王にも受け継がれているのです。
不動明王は仏法の障害となるものに対しては怒りを持って屈服させますが、
仏道に入った修行者には常に守護をして見守ります。